すっぱいのがお好き
ないしょの物語
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「ジャマするぞ」

いつものように大量の昼食の後片付けを済ませ、洗濯ものを取り込んでいたチチの背後に
突然現れたベジータ。その表情はおなじみのしかめっ面だ。

「あんれ~、ベジータさ。珍しいこともあるもんだな~」

何の前触れもなく自分の背後に人が現れるという事には
夫である悟空の瞬間移動などという、およそ常人では理解できないであろう
その技とやらに慣れているチチにとって、驚くほどの出来事ではないためか、
いつもの調子でそう答えた。

「どうしただ?何か用だべか? 悟空さなら悟天ちゃんと武天老師様のとこさ行ってるだよ」

まぁいいから、とりあえず家の中に入れというチチに従い、ベジータとチチは
食卓テーブルに向い合せの状態で座る。

「腹減ってないだか?ちょうど夕飯に出そうと思ってた中華饅頭があるだよ、
すぐ蒸かしてやるから、待っててくれな」

数年ぶりに会ったというのに、チチのペースにすっかり乗せられて、
ベジータは当初の予定を忘れるところだった。

「おい、貴様。俺がここへ来た訳を聞く気はないのか?」

ああそうだったな、何しに来たんだべか?


にこりと緩やかな微笑みとともに、蒸し器に火をつけたまま、チチは振り返った。

まったく、カカロットといい、妻のチチといい、こいつらはいつも俺のペースを乱す。

「つまり、その・・だな。
カカロットが俺を殺さなかった理由を知りたいのだ」

何を言い出すのかと思えば、ドラゴンボールの存在さえも忘れかけるほど
平和になり過ぎた今、大昔の出来事を今更改めて問われたのであった。

そう、時代はとっくに変わっていたのである。

わずかに平和だった新婚時代、授かった長男はすでに一児の父になり、
今度こそは無敵の悟空でも適わないと悟ったセル戦前、まさに己の分身にと身籠もることになった
次男の悟天は、デートにアルバイトにと、ごく普通の青年の日々を謳歌している。

夫である悟空に至っては、出会った頃から基本的な部分はちっとも変ってはいないけれど、
何度も死に、何度も生き返り、彼なりに思うことがあるのか、
「働かないこと」と「修行バカ」なことを覗けば、世間一般でいう「夫」というものに
近づいてきているのだった。

「あっはっはっはっっ!!!」

チチの豪快な大笑いに、ベジータは眉間に入れた皺をさらに深める。

「ベジータさ、何を言い出すのかと思ったら そ~ったら昔のことだったとはな~
懐かしいだな~、そういえば、そんな事もあっただな。」

「あれから何十年だ?おら、すっかり忘れてただよ」

サイヤ人だの、ナメック星だの、人造人間だの・・・もうそんなこと、
どうでもよくなっていたチチである。

色々あった、確かに。
いつだって最前線で戦ってきた夫の悟空とは反対に、その表舞台のほとんどを実際のところ
あまりよく知らないチチは、ただひたすら目の前で起こる事態についていくのがやっとであった。

寂しいとか、のけ者だとか、そう思うよりも先に
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【2012/08/05 05:21】 | 未分類 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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